セラピストにむけた情報発信


 文献紹介4:意識に関する本



2008年3月5日

前回の更新からだいぶ時間が経ってしまいました.
今回は,意識に関する本の紹介です.

セラピストの皆様は,臨床現場において多様な意識障害,半側空間無視の症状を呈する患者さんと向き合って仕事をされていると推察いたします.このような症例に多数遭遇することで,意識とは何か?意識現象を作り出す脳の仕組みとは?といった問いに,ご自身なりの考えを持たれる方も多いかもしれません.

ここで紹介する本は,意識に関するこれらの問いに対して,主として実験的な検討からアプローチした研究成果をまとめている本の紹介です.いずれも読み物として楽しめる工夫を随所に感じることができます.いずれも2006年に出版された訳本です.

・クリストフ・コッホ 意識の探求−神経科学からのアプローチ(上)(下). 岩波書店
・ジュリアン・P・キーナン(編著) うぬぼれる脳−「鏡のなかの顔」と自己意識.NHKブックス



英語文献に抵抗がない方には,2001年出版とやや古い文献ですが,以下の本を推薦いたします.

・Dehaene(Ed) The cognitive neuroscience of consciousness. Cambridge: MIT Press

この本は,私自身がかつて穴の開くほど読んだ本の1冊です.8つの論文をまとめた論文集です.既に出版から7年が経過しているので,最新の情報について知ることはできませんが,各論文で論じられている意識に関する概念や研究方法は今でも有効であり,得るものは多いと思います.
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